2012年11月8日木曜日

最強の授業

私の活動に対しての先生の反応には3種類ある。


①すごく興味を持ってくれて、私が授業するときも一緒に授業を進めてくれる先生。

こういう先生は私の授業内容や教材を自分のものにしようとしているのが伝わってきて、
一緒に活動しててすごく楽しいし、やりがいを感じる。



②私の授業にそこまで興味はないけど、とりあえず授業をさせてくれて、
別に授業をサポートするわけではないけど、子供たちがうるさくならないように見ててくれる先生。

こういう先生は私の授業を吸収しようとはしてない気がするけど、
一応私が授業できるように一緒に教室にいて、子供の様子を見てる。
でも、違うことをしてることが多い。



③私の授業に興味はないが、授業がしたいというのでやらせてやってるという風な先生。

こういう先生のクラスでは、正直、授業をするのが疲れる。
私のレベルのフランス語では彼らをまとめきれないし、
何のために授業しているのか、悲しくなってくる。


さすがに2年目の今、③レベルの先生はいなくなったけど、
てかそんな先生のクラスには授業しないけど、
今日授業をした4クラスの先生は私の分析では
②、②、①と②の間、①・・・といった感じだ。


前半に授業をしたM小学校。

4年生のクラス。

先生は教室にはいるが、私の授業内容には興味がない様子。

おかげで子供たちは好き放題。

しまいにはうるさくなっても注意してくれない先生。

授業を始めて10分も経たないときのこと。

私は去年の経験から、先生と一緒じゃないと授業をしないと決めているので、
先生は教室にいるが、手伝ってくれないことを悟り、途中だったけど授業をやめることに。


「あのーマダム(女の先生)、私、帰ります。」

「え?なんで?終わったの?」

「いいえ、終わってないですけど、こんな状態では授業を続けられません。
彼らは話してばかりで聞こうとしません。私ひとりで授業を進めるのは無理です。」

「何を言ってるの!ここはあなたのクラスでもあるのよ。大丈夫。できるわよ!」

「いいえ、私は一人では授業できません。」

「一人でもできるわよ!私は今からでかけるから、授業を続けて!」

「いいえ、できません。というか、私の仕事は先生たちと一緒に働くことです。
一人で授業をするなら私は授業をしません。てか、出かけるんですか?
だったらなおさらです。私も帰ります。」

「でもまだ終わってないんでしょ?」

「終わってないですけど、先生でかけるんですよね?私はボランティアです。一人で授業はしません。先生たちと一緒に働くことが私の仕事です。ということで、帰ります。」

「次はいつ来るの?」

「一人で授業をするのなら来ません。」

「わかったわ。私は出かけないわ。授業を続けましょう。」


正直、私はこの時点でやる気を完全に失っていたんですが、
先生が続けろというので、仕方なく続けることに・・・

その後も最初だけ手伝ってはくれたものの、
授業が流れにのってくると再びイスに座って違うことを始めました。

子供たちは、一応私の授業を聞いてくれるようになったので、とりあえず最後まで授業をしました。

「私は来週も来ることができますが、どうしますか?別にこのクラスで授業できなくてもかまいません。」

と、私が言うと、

「来週ね!わかったわ。授業してよ。」

そう言われたので来週も約束をしましたが、

うーん・・・なんかスッキリしない。

まじで、断ってほしい。

私を必要としてくれてる先生は他にもいる。

だから、いらないならはっきり言ってほしい。

そう思って、しょぼーんとしながら中庭をブラブラしていると、
さっきの先生が他の先生と話していました。

「Annaは毎週来るの?!週に2回、1時間のアラビア語の授業があって、さらにAnnaは毎週30分の授業をするんでしょ?私たちの時間割にAnnaは入ってないわ!毎週なんて多すぎる!彼女はとくに板書をするわけでもないし、子供たちは覚えられないわ。」

一緒に話していたのは私が同じく授業をしている5年生の先生でした。

「君の言ってることもわかるよ。でもね、僕のクラスで彼女はすでに2回授業をしてくれた。羊についてと草食動物と肉食動物についてだ。僕は今度、彼女の教材を参考に授業をするつもりだし、いいことじゃないか!」

「それにしても毎週は多いわ。私の時間割が進まないじゃない!」

私のことで先生たちが話し合ってるので、私も話に混ざりました。

「あのー。私も、毎週は多いと思います。アラビア語の授業もあるのに、私が30分も授業して。たしかに多い。でも、私はボランティアです。私の仕事は先生たちを助けることです。私は1年後、日本に帰らなければいけません。だから、できるだけたくさん、先生たちの力になりたくて、毎週することに決めました。でも、それが問題なのであれば、断ってもらっていいんです。ほんとに。ほかのクラスで授業しますから。」

私の知ってるフランス語をフルに使って、ちょっと泣きそうになりながら、想いを伝えました。

「全然問題じゃないわよ。あのね、あなたのやってることはとてもおもしろいわ。子供たちにとってとても良いの。だから、授業をしにきなさい。わかったわね。」


5年の先生が言ってくれたこと。

それはまさに、私が理想としている活動スタイル。

でも、それを先生に伝えたことはなかった。

なのに、先生はわかってた。

そう。

私が伝えたいのはそういうことなんです。

フランス語に自信がないからあまり板書はしないし、
だからこそ教材を作って理解を促そうとしてるんです。

先生たちのキレイに板書をする授業スタイルと、
私の教材を用いた授業スタイルを合体させれば、
最強の授業になるはず。

私は、そんな最強の授業をいつか先生たちにしてほしくて、
アイディアのひとつとして教材を使って、私なりの授業をしてるんです。

私は教育実習生じゃない。

単に授業をしたくて来てるんじゃない。

マンパワーとして働きたくて授業したいと言ってるんじゃない。

先生たちの授業の+αになりたくて、
教材を考えて、授業をしに来てるんです。

だから、私と先生が一緒に授業をして初めて意味のある活動になるんです。

でも、そこまで理解してくれる先生はやっぱり少なくて、
私はそういう先生とだけ活動をしてもいいんやけれど、
それは校長先生が多分許してくれなくて、

たとえば4年A組の先生が理解者で、B組の先生が理解者じゃなくて、
私がA組だけで授業をしたいといっても、多分校長先生はB組でもやれと言う。

私の活動に興味がないのは別に悪いことじゃないし、
断ることは全然気にしてないのに、
なんかこっちのよくわからん文化なのか、
断ることを絶対にしないし、
ほんと、来るもの拒まずって感じ。

ちゃんと断ることも優しさだと私は思うんやけれども;;

だって、やる気のない先生のクラスで授業をしても私の心が折れるというか、
精神的にマイナスになることが多いので、
できれば断ってほしいんやけど・・・;;

セネガルの人はそれをしない。



4年生の先生が言ったこと。

「あなたの授業はおもしろい。子供たちにとってとても良い。」

正直、これは私のしたい活動ではない。

私は、先生たちのために授業がしたいんです。

でも、あらためてこの言葉を言われて思った。

別に子供のためでもいっか、って。

子供たちが楽しく授業を受けれたらそれでいっか、と。

それで先生のためにもなればなおよし!

これからはそう思うことにしよう。

でも、5・6年生は先生がいなくても私のフランス語の説明で理解してくれるし、
話をちゃんと聞くことができる。

4年生は違う。

本当にひとりでは授業できない。

先生が注意しないととにかくうるさい!

そして、フランス語の知ってる単語が少ない!

ウォロフ語のできない私にはまとめきれない。

だからやっぱり、先生と一緒に授業していけるように頑張ろう。

それが、たとえ先生のためでなく、子供たちのためだとしても。


そう思いながら、中間休みをはさんで、次はA小学校へ。

5年生に授業。


この学校は家から1番遠いけど、他の学校より理解のある先生が多い。

すっごく活動しやすい学校。

5年生に2クラス授業。

A組のあと、B組。


B組では、今までの授業の中で最高の授業ができた。

私が説明する。
先生が補足する。

私が質問する。
先生もさらに質問を追加する。

先生と、子供たちと、私が、一体となった授業。

最高だった。

楽しかった。

そして、嬉しかった。


朝のゴタゴタでちょっとテンション下がってたから、
私の教材を使って、先生と一緒になって授業ができたこと、
私の理想の授業スタイルができたことが、

ほんとうにうれしくて、

また頑張ろうって思えた。



私の活動に対しての3種類の先生。


①すごく興味を持ってくれて、私が授業するときも一緒に授業を進めてくれる先生。

②私の授業にそこまで興味はないけど、とりあえず授業をさせてくれて、
別に授業をサポートするわけではないけど、子供たちがうるさくならないように見ててくれる先生。

③私の授業に興味はないが、授業がしたいというのでやらせてやってるという風な先生。


①に該当する先生はまだまだ少ないかもしれない。

でも、③だった先生が②になったように、

②の先生が①になるときが来るといいな。


残り11か月。

いや、小学校は7月までやから、残り9か月。

どこまでできるかわからないけど、
とにかく、何かしないと何も始まらない。

こうして、少しずつだけど、変化してる毎日。

塵もつもれば山となる!


頑張ろう。

2 件のコメント:

  1. 毎日読ませてもらっています。書いてあること全くその通り。でも②や③の先生も何かを感じているかもしれませんね。私はかつてのケニアの同僚から「あなたが当時やっていた教育のレベルを30年近くたった今、皆がやろうとしている。やっていたことがすごく斬新だった」と評価されました。きっと矢野さんもそうなのかも。もっと子供にしっかり教えないといけないと、「教育技術」以前の準備が整い、熟成して、次のステップ。でも今、矢野さんが見せているいろいろなことが刺激になって熟成を早めているのだと思います。認めてくれなくて必死になった問いの言葉も先生たちに波紋を投げる大事な役割をしているのでは? 進む方向は正しく、きっちりばっちり進んでいるじゃないですか。私も大いに刺激になります。今日もファイトでがんばってくださいね!!

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    1. 30年後。。。私のやってたことが無駄じゃなかったと思えるようなセネガルになってることを願います。本当に、最近は変化の毎日です。問題があるということは、次のステップに進むチャンスなんだと思って頑張ります!

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